【Special Series】カリフォルニア・エンターテイメント最前線 Vol.1

パークニュース

アナハイムを中心とするエンターテイメントがコロナウイルスにより停止してから、まもなく1年が経とうとしています。このシリーズでは現地で活躍する関係者に話を聞き、これまでの活動やカリフォルニアのエンタメの現状を紹介していきます。第1回目は現在照明や音響の世界で活躍する水本凜さんに話を聞きます。

いろんなバックグラウンドを持った人と働きたい

Andy:今日はありがとう!まずは簡単に何してる人なのかを教えてください

水本アメリカのカリフォルニア州でショーやイベントの舞台技術をやっている人です。メインは照明なんですが、最近は音響や映像系の仕事にも関わっています。

Andy:これまで関わってきたプロジェクトはどんな感じ?

水本ミュージカルとかコンサートとかダンスとか、ライブエンターテイメントの仕事を主にやってきました。照明はデザインだけじゃなくて、オペレーターとして卓を操作したり、設置から撤去まで全部やります。以前は劇場常駐のスタッフとして働いていたので、いろんな所からアーティストがツアーで訪れて、その人たちをサポートする立場でした。中にはイスラエルから歌手が来たりして、普段イスラエルの曲とかを聞く機会がなかったので、そういう劇場で働くことによって、今までみたことのないジャンルの芸術に触れ合えたのがすごく面白かったです。今までやってきた仕事の中では、ダンスの照明デザインがお気に入りです。ここ3年ほど一緒に仕事をしてる振付師の方とは4回ダンスフェスティバルをやっていて、その人のメッセージ性のあるダンスの照明を考えるのがすごく楽しいです。

This is 22! by Golden Grooves (2021)

Andy:すごいいいね

水本:ありがとうございます。最近だと映像系もやるようになっていて、昨年末にはCommonというラッパーのミュージックビデオにライティングディレクターとして参加させてもらいました。

Common – A Beautiful Revolution (Pt 1)

Andy:ええ!すごい人に関わってるのね。じゃあそもそも舞台に関わるきっかけは?

水本昔は舞台に出る側をやっていて、ずっとエンタメが好きだったから、エンターテイメント関係の仕事をするのはずっと自分の中で決まってました。アメリカに住んでから舞台裏の仕事に興味を持ち、いろいろ試した中で照明が一番楽しくて、どんどん仕事をしていったのがきっかけです。

Andy:照明をデザインをするプロセスは?

水本:最初は予算とかロジスティックなところから始まって、ショーのディレクターが伝えたいことや他のデザイナーのコンセプトを聞いて、自分がやりたいことをどのようにリアリティーにできるか考えるって感じです。ダンスの照明デザインをするときは、リハーサル動画や音楽をもらって、それを見て聞くところから始まります。まずそのダンスの作品のイメージとかメッセージを話し合ったり考えて、どの色を使うかを決め、そのあとで動きや音楽を確認して作って行く感じです。アイデアは紙に書くこともあるし、エクセルでまとめたりとかもします。図面はautocadとかvector worksとかを使って書いてます。

Andy:自分が創る照明のシグネチャーみたいなものってある?

水本自分が好きなのは宇宙空間みたいな感じです。見ている人が別次元に行くような感じが好きで、リアルだけを追求しない表現を目指しています。ビームをたくさん使うのも好きだし、色をあえて使わないこともあります。あとは照明をどこから照らすかっていう角度の使い方を最近よく考えています。

American Idiot (2019) photo: Jack Belisle

Andy:今後照明の世界で実現していきたいことはある?

水本まず規模が大きくて世界中から老若男女、いろんな人が見てくれる舞台に関わりたいっていうのがあります。多様なバックグラウンドを持った人がいる国だから、そういう人の影響を受けながら働けるというのが自分にとって魅力的なので、それがアメリカに残りたい一番の理由です。前から目標だったシルク(・ドゥ・ソレイユ)に関わって、オペレーターやデザインもやってみたいし、最近関わったミュージックビデオもすごく楽しかったので、またやってみたいと思います。

エンタメは絶対戻ってくる

Andy:パンデミックが始まったの、もう1年くらいだけど…

水本:信じられないです!今も舞台とかコンサート会場とかは全くもって閉まっています。州によってはあいてても、怖いですよね。

Andy:エンタメで働いていた人は今どんな状況なの?

水本:「全く何もやってない人」と「何とか働けてる人」とに別れています。これには今まで関わってきたキャリアが大きく影響してて、ブロードウェイとかラスベガスとかで大きい舞台で働いていた人たちは意外と一番大変なのかも?って思っています。なぜかというと、そういうショーは人が沢山来るから一番開きずらいし、演るだけでお金もかかるから、お客さんを減らして公演することが難しいからです。だからそういう大きい舞台で働いていた人は今も働けてない場合も多いし、違う仕事を始めてたりフリーランスとして働き始めている方もたくさんいます。でも逆に、今まで映像系を中心にやってきたような人たちは、その経験が生かされて今も仕事を続けられている印象があります。パフォーマーの人もダンスや歌を教える仕事に専念したり、自分たちでショーを開催したり、友達同士のコミュニティーの中でなんとかやっている状態かなと。でも、きついです。

Andy:うーん、厳しい… そんな中で今の仕事を詳しく教えてほしい

水本今わたしが働いているのは、Insomniacという会社の「Electric Mile」というドライブスルーイベントです。大きな会場に照明などの飾りがあって、音楽が流れていて、パフォーマーがいて、お客さんは自分たちの車に乗ってドライブスルーでショーを楽しむ作りになっています。お客さんが自分で動くパレードみたいな感じで、1時間ちょっとくらいのショーです。

やっぱりこの時期にエンターテイメントの世界に仕事を与えてくれてるこのイベントはありがたいし、ちゃんとお客さんも安全にきてくれて楽しんでくれてるから、「エンターテイメントが求められてる」って実感する良い機会にもなっています。人を楽しませるイベントの一部になれてるっていうのはそれだけですごく楽しいです。本当に、できてるだけで感謝。

“The Pit of the Cherry” by Golden Grooves at the Palm Desert Choreography Festival (2019)

Andy:ドライブスルー以外にも、コロナ中のエンタメってある?

水本ドライブインコンサートといって、大きい野外の会場に自分たちの車を停めて、そこから演奏を見るショーもあります。あとはストリーミング配信などで、演劇やコンサート映像を少人数で撮影し、世界に配信したりもするパターンもよくあります。

Andy:エンターテイメントのこれからってどうなると思う?

水本エンタメが戻ってくるというのは、絶対だと信じています。これだけ歴史があってみんな関わってきたし、コロナが落ち着いたら戻ってくるとは思います。あとは、エンタメで働く人たちが安心して生活できるような状況になってほしいです。自分としては、コロナがなくなるまで、新しいことに挑戦して、今までやってきたこと以外のことも学んでいかないとなとも考えています。今できる映像の仕事をして自分の引き出しを増やすことが大事だと思って頑張りたいです。

 想像以上にあらゆる状況が変わってしまったアメリカのエンタメ。ここからコロナの状況がどう変わろうと、自分のスキルやコミュニティーが自分を守り、先に進めてくれることは確かなようです。これからもThe Anaheim Timesではアナハイムを中心とするカリフォルニアのエンタメの現状を届けていきます。
水本凜:ライティングデザイナー
好きな映画:ボヘミアンラプソディー
好きなアーティスト:Beatles, Papooz, くるり

取材・文章:Andy

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